2016-01-01から1年間の記事一覧

ひかりの聖堂

飛翔のときか来迎かいのちの糸はいのち享けわが身のさだめ知らされる かがやくそらにいざなわれゆらめく波にあそばれて鼓動たかまりまたしずむ かえらぬ人の影を縫い戻らぬときをしたためて白き調べを弾きくらべ 色をいただく音の波歌を染めるは極楽鳥かさね…

細く微かなもの

背中から腰と脚にかけ激痛が走り、起き上がるにも坐るにも歩くのにも、痛みに耐えながらようやくという状態が続き、一時はこのまま動けなくなるのではないかという怖れすらあった。安静といわれ、とにかくできるだけ外出しないようにしているうち、重だるく…

風の音 龍の耳

インターネット上のやりとり、キーポードから打ち込まれた文字だけではなかなか感情は伝わらず誤解しがちだが、それでもやはり、「感じられる」と「聞こえる」の中間の働きのようなものによって、表された言葉から相手の心の動きを、苛立ち、親愛、悲鳴、歓…

天の水 分かつ

風笛に導かれ漆黒の闇を進む光の珠、銀の毒水を代わり受け、麗明の海に逝きし者の歩みか。天透ける女人の鎮魂歌、言葉奪われし影達の眼差し篤く包みて、古の黒き輝石の邑に染み入り、語る言葉その姿ひそめ語らざるものとの旅に誘う。水を分かつ地に育まれし…

光の扉

見よ 星の旅立つ久遠の扉を楽の音薫る天上の窓を深淵の海に埋もれし新生の泉を 扉の鍵は何処に 明日なき海空に散りし瞳かただ花を手向け黙し跪く姿か哭する背中に差し伸べられた手か それはまた 走抜けた少女の咲きこぼれる笑顔か闇こそ包む愛しき影か食卓に…

与えられた経験

舞い降りた手触りは、紅の衣に包まれた過ぎ去らぬ時。薄れかけた旧き文字に哀惜と歓びの詩あり。海原遥か心結ぶ光の街は宝の箱に収まりきらず。鈴鳴らし道行く牛車に花飾り、見上げる梢に朱の鳳、いま飛び立てり。疾く足高く明日を越え極まることなし。受け…

内なる色

光知り初めし幼子の心に宿るは何色か 億光年の沈黙から雫おちる音の誠を写す泉に懐かしき面影と恥じらいの微笑みが波紋を奏でる 土を耕し育むその見えぬ目は蒼穹の天を仰ぎ歩みゆくその後ろ姿は時の刻印を知らず 眠り深く明日なき道を辿れば遠く確かな大河の…

雪のソナタ

白き野に原初の音を刻み織りなす響き地を染める 歩を休めれば花灯り潤いの匂い寄り添いて 窓辺より冬の祈り零れはく息鎮み風に結ぶ 穿ち尽くせぬ年の輪ひとつはるか来し方の空を眺む 屋根に降り積む訪れに動かざる心ふと明日を夢見る 漆黒の炎に深淵の宴あり…

鉄路

ともにあるく ひとりあるく あしうらおりなす