2016-01-23 雪のソナタ 白き野に原初の音を刻み織りなす響き地を染める 歩を休めれば花灯り潤いの匂い寄り添いて 窓辺より冬の祈り零れはく息鎮み風に結ぶ 穿ち尽くせぬ年の輪ひとつはるか来し方の空を眺む 屋根に降り積む訪れに動かざる心ふと明日を夢見る 漆黒の炎に深淵の宴あり 日々を引き受けし背に顔を上げ胸を開く 遠くを眺むる者を見守る静かなる眼差し 節くれ立つ指に応える微かなる揺らぎ 地の底より飛び立てる翼あり 道は果て無し今も果て無し (小林秀雄『ゴッホの手紙』十九頁)