風に舞い 雨に唄い

若芽の緑は色を深め

陽を浴び 影を与え

紅の羽根となり

乾いた響きを残し

幹に力蓄え

雪にいのち温める

 

蕾微笑み 重く満ちて

ひとつふたつ 綻び

花弁たわわに花祭り

紺碧の空を彩り

手をつなぐ幼な児に

はにかみ色を刻む

子どもは桜の贈り物

咲くは人 人は桜

 

桜の園は花曼陀羅

死者も生者も花宴

枝垂れ桜は春の鞭

空を切り裂き血で染めて

熱き血潮の珠となり

この世とあちらを橋渡す