ひかりの聖堂

飛翔のときか来迎か
いのちの糸はいのち享け
わが身のさだめ知らされる

かがやくそらにいざなわれ
ゆらめく波にあそばれて
鼓動たかまりまたしずむ

かえらぬ人の影を縫い
戻らぬときをしたためて
白き調べを弾きくらべ

色をいただく音の波
歌を染めるは極楽鳥
かさね桜に濃紫

いにしえびとと舞い踊り
まもりびとにはこえひそめ
いま立つものをささえつつ

夢織りなすは薄衣
息をわすれる深緑
ひかりの恵みかぎりなく

 

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志村ふくみ「母衣への回帰」に寄せて