内なる色

光知り初めし幼子の心に宿るは何色か

億光年の沈黙から雫おちる音の誠を写す泉に
懐かしき面影と恥じらいの微笑みが波紋を奏でる

土を耕し育むその見えぬ目は蒼穹の天を仰ぎ
歩みゆくその後ろ姿は時の刻印を知らず

眠り深く明日なき道を辿れば
遠く確かな大河の畔

星秘む夜空に彩り渡る二重の虹
悲しき夢を喜びの歌に編む

ひとり立つは天空の底
ふるさとの響きここに集い遊ぶ

色は己の色を知らず
その色はまた尽きることなし

 


「自分自身の色調の調和から、自分のパレットの色から出発せよ。自然の色から出発するな(No.429)」
「自然から学ぶこと、自然と格闘する事、僕はこれを放棄しようとは思わない。・・・先ず自然に追随しようとする望みのない苦闘から始める。何もかもうまくいかない、遂に自分のパレットから静かに創造するというところに行きつく、自然がこれに同意し、これに従う。併しこの二つのものの対立と言っても、別々に二つが在るというのではない・・・(No.429)」
小林秀雄ゴッホの手紙』)