過ぎいく時間 過ぎいかぬ時
小学校高学年になると週番という役割があり、五年生と六年生が組み、放課後学内を回って各教室を点検したりした。五年生になり初めての週番のとき六年生の女子と組んだ。
こころが切なく遠い憧れに充たされた。
小学校低学年のときは身体が弱く休んでばかりいて出席日数は所定の半分程度ではなかったろうか。何日か欠席したあと久しぶりに登校し足取り重く教室に向かっていたら、急に手を引かれた。
お下げ髪が揺れる、同級生だった。
体育館にある机に座っていて、床のマットの上にいた娘をちょうど見下ろす位置にいた。手招きするので顔を見たら、上唇と下唇の一部が渇いてくっついてしまったのを指し示している。
無邪氣さが眩しかった。
<『ドゥイノの悲歌』リルケ>