与えられた経験

舞い降りた手触りは、紅の衣に包まれた過ぎ去らぬ時。薄れかけた旧き文字に哀惜と歓びの詩あり。海原遥か心結ぶ光の街は宝の箱に収まりきらず。鈴鳴らし道行く牛車に花飾り、見上げる梢に朱の鳳、いま飛び立てり。疾く足高く明日を越え極まることなし。受け…

内なる色

光知り初めし幼子の心に宿るは何色か 億光年の沈黙から雫おちる音の誠を写す泉に懐かしき面影と恥じらいの微笑みが波紋を奏でる 土を耕し育むその見えぬ目は蒼穹の天を仰ぎ歩みゆくその後ろ姿は時の刻印を知らず 眠り深く明日なき道を辿れば遠く確かな大河の…

雪のソナタ

白き野に原初の音を刻み織りなす響き地を染める 歩を休めれば花灯り潤いの匂い寄り添いて 窓辺より冬の祈り零れはく息鎮み風に結ぶ 穿ち尽くせぬ年の輪ひとつはるか来し方の空を眺む 屋根に降り積む訪れに動かざる心ふと明日を夢見る 漆黒の炎に深淵の宴あり…

鉄路

ともにあるく ひとりあるく あしうらおりなす

ひかりかわすことば

あしうらを確かめ坂道に歩を刻む。顔を上げ眼差しは遥かなる海と夕焼ける雲にとけ合いひかり満ちる。古の笛に風の囁きを聞き、鐘の音、篤き大地にいのち深き響きあり。遥かなるものに包まれた慈くしき館の温かさに心和み、空を仰ぎ見て苦を代り受け逝きし影…

ふるさとの花

目を細めているのか、眠っているのか。新しき人を見つめる懐かしき眼差し。抱きしめるのは、いつも近しく遠い、今。樹木に遊び、灼けた大地をどこへまでも走る。汗の雫が舞い下り舞い上がり飛び至りて、古く新しき雲に溶け合う。 母国は異国であった。穏やか…

雲でなく山でもない私 雲であり山である私

そら そこに

空に叫び 花に想う

熱き風の下 言の葉強く静かなり

光 裂く

織りなす色

悲しみの果て、悲しみと愛しみと美しみとが織り成すその境域のさらにその先に、悲しみはその姿を変えよろこびの種子として新たな命を胚胎しそこにあるのだろう。あるときは共に生まれいずるものの深紅の激流に磨かれ、またあるときは先に逝きしものの住まう…

凡庸なる非凡さ

雨風の冷たい日、東北のある街へ赴いた。 予定を終え打ち上げ会場へ向かうが手間取り、着いたのがバス発車時刻の30分前であった。そこから停留所迄は1、2分とのことなので乾杯だけでもと思ったが、不安が、危ないという思いがよぎった。 皆と分かれバス…

時 の 間

おきなさび飛ばず鳴かざるをちかたの森のふくろふ笑ふらんかも

声を聞けばよい。 俯瞰することも声高に語ることもいらぬ。上から見下ろさず、無限の時とともに果てない大地を見渡し、静かに微笑みながらとどまり、総てを感じる。無限の彼方、あちらからの声、声なき声に耳を澄ます。砂地に刻まれた小賢しい言葉は波が連れ…

みち の みち

みつけた

静かな場所

不肖の弟子にとって、師匠はありがたい。ふと怠りがちな大切なことを繰り返し、その必要なときに身に染むよう指摘してくれる。こちらを憚り誰もが言ってくれないことを直截に伝えてくれる。破門寸前になったり、あるいはこちらから異を唱え、別の道へと袂を…

ときとそらのなかに

そのピアニッシモは、沈黙に灯された小さな雫の如く、静かにその波紋を広げ、心の扉を開放してくれた。 盲目の音楽家とは何者か。原初生命体であった何者かは、藍鉄色の深海に育まれた響きを全身で受けとめていたのではないか。母の海に抱かれた何者かは、生…

きみ は だれ  キミ こそ だれ

おじゃまします

出口なのか 入口なのか

いつくしき ひかり

ひかりは どこから

アメニモ マケヌ

あめのしずく

とびらは ここ

いま てを つなご

そら は そらのもの

しろ に そまる